ゴールデンウィークの過ごし方-9日目

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勉強する男の子

家庭教師のタツジン28号です。

 

さて、今回も引き続きK成中の過去問を取り上げたいと思います。今回は、内田樹の「もしも歴史が」が出題された年度の過去問を取り上げてみたいと思います。それは、内田樹の文章が中学入試によく出題されることと鋭い指摘をしている内容があるからです。いつも考えさせられることが多いです。

 

 この年も教え子が1名K成中に合格しました。やはり強者でした。合格のお礼ということでお宅に呼ばれました。目がキラキラしていたことが印象に残っています。子どもたちの中には目ヂカラが強い子がいますが、この子もそんな一人でした。この子の勉強量は、大人が見てもすごいと思いました。ぼくは、いつも思います。家庭教師として子どもたちを教える機会に恵まれますが、ぼくが教えることなんて確認事項くらいなんあろうなぁ、と。子どもたちの持つ素晴らしい才能に触れることができる幸せなんでしょうか。

 

 この子にK成中に入学したら何をするの、と聞いたら、「ハイ、鉄〇会に入塾します」という答えでした。かの日本一有名な塾です。これだけ勉強してきたのだから、しばらく息抜きして何かのスポーツでもやるのかと思って聞いたら、そのまま勉強を続けるそうです。これだけ勉強が分かってくると面白いのでしょうか。凡人のぼくには想像もつきません。将来、何をやりたいのか聞いたら、新聞記者になりたいそうで、そのためT大に入りたいそうです。

 

 また前置きが長くなりました。内田樹の「もしも歴史が」の文章の概略を説明します。「歴史に『もしも』はない」とよく言われるが、その理由について考えることは、知性の訓練として大事なのではないかという語り出しで始まります。歴史の勉強をすると因果関係に基づいて整然と配列されているように説明されるが、それは違うのではないか。歴史を事前に予見できた者はなく、それは未来についてもいえるだろう。つまり、そのいずれにしても知性の使い方は同じだ。しかし、歴史に「もしも」を導入することは、単にSF的想像力を暴走させることではなく、一人の人間が世界の運行にどれほど関与することができるかということについて考えることだ。私たち一人ひとりのごくささいな選択が、実は重大な社会的変化を引き起こす引き金となり、未来の社会のあり方に決定的な影響を及ぼすかもしれず、その可能性について深く考えることだ。もしかすると、ほかならぬ自分が起点となって歴史は誰も予測できなかったような劇的な転換を遂げるかもしれない、ということです。

 

 さて、問題にいきましょう。歴史について、「あること」が起きて「そうではないこと」は起きなかったのか。その理由について考えるのは、「なかなかに大切な知性の訓練ではないかと私は思っています」とありますが、筆者がそう考える理由を本文全体を踏まえて100字以内で説明しなさい、という問題を考えてみたいと思います。

 

【解説】

本文全体を踏まえてというわけですから、当たり前ですが、本文全体の内容から「歴史から『そうではなかったこと』を考えることの大切さ」を述べている部分を見つけていきます。

問題の傍線部の後に「過去の『起こってもよかったのに』起こらなかったこと」について想像するときに使う脳の部位は、未来の「起こるかもしれないこと」を想像するときに使う部位とたぶん同じ場所のような気がするから、とあります。つまり、筆者は「未来の『起こるかもしれないこと』を想像すること」と結び、そこに知性の大切さを感じ取っているのでしょう。そのためには、筆者が未来を想像することの大切さを説明している箇所に着目します。

「一人の人間が世界の運行にどれくらい関与することができるかについて考えることです」、「私たちひとりひとりのごく些細な選択が、実は重大な社会的変化を引き起こす引き金となり、未来の社会のあり方に決定的な影響を及ぼすかもしれない。その可能性にについて深く考えることです。もしかするとほかならぬこの自分が起点になって歴史は誰も予測できなかったような劇的な転換を遂げるかもしれない」などの筆者の表現から説明してみます。このように筆者の説明を抜粋すると、「なかなかにたいせつな知性の訓練」とは、個人的にも大切であるが、現代社会に生きるわれわれにとっても大切なことだと筆者は述べているのでしょう。

 

【解答例】

歴史において「あること」が起きなかったことを考えることは、未来を想像することと同等であり、それは個人のみならず人類にとって重要な社会的変化を引き起こす要因を秘めている可能性が潜んでいるから。

 

どうでしょうか。同じことを毎回言いますが、どこかに模範解答があるからと安心するのでなく、自分で考えて答えを求める努力を惜しまないことが大事です。チャレンジしてみて下さい。

 

結論

内田樹の論説文は鋭く、考えさせられるものが多い。

②強者たちは目ヂカラのある子が少なくない。

③模範解答は一つの解答例でしかなく、解答は自分で生み出すものである。