男子御三家の国語の問題にチャレンジ

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青空

家庭教師のタツジン28号です。

 

今回はまた、K成中学の過去問について説明します。榊邦彦氏の小説「約束」が出題された過去問について触れていきます。なぜ、この過去問を取り上げたのかというと、作品も面白いのですが、この作家は母校であるK成中で教鞭を執られているということにも興味を持ちました。

 

 まず、物語の解説をします。小学校6年生の少年が主人公です。小学校の校庭で後輩たちとサッカーに興じていると、中学生たちがやってきて同じようにサッカーを始めます。次第に中学生たちが我が物顔でプレーするようになり、小学生たちを追い出そうとします。少年は後輩たちの手前、勇気を奮い起こして半分ずつ使おうと相談するべきところを何も言えません。後輩たちが寂しそうに見てくる中、少年は勇気が出せず、終わろうと言ってしまいます。仕事の帰りが遅い両親に代わって祖母が夕飯の相手です。元気のない少年の様子に気づいた祖母は、その理由を尋ねます。少年は昼間の出来事を話します。祖母は、それは愚痴か、相談かと尋ねます。返答に困っていると、祖母は自分の弱いところに気づけたと少年をホメます。祖母は、それを「傷つける力」と呼び、使い損ねた勇気を貯金するように勧めます。「勇気の貯金」です。使い損ねた勇気を貯金し、もっと大切な場面で使うようにアドバイスします。また祖母は、この「勇気の貯金」は使っても減らない魔法の貯金箱だと少年を励まします。少年は、「勇気の貯金」貯めたり、使ったりしながら成長していきます。

 

 さて、問題です。今回も紙幅の都合上、一問に絞ります。問題は「祖母の少年に対する言葉や態度からは、人間やその行いについてどのような考えが伺えるか説明せよ」というものです。

 

【解説】

 難問です。大人でも考えさせられる問題です。子どもたちは、物事を抽象的に考えるこが苦手です。慣れていないからです。でも、問題に向き合わざるを得ません。「祖母の言葉や態度」から「人間やその行いについてどのような考えが伺えるか」という問いですから、素直に祖母の少年への対応を考えてみるのが一番です。祖母の問いに少年が答えられずにいると「自分の弱さに気づけたことはエライ」と諭します。そして、自分の弱さの裏返しである「勇気」を貯めて、もっと重要な場面で使うことをアドバイスします。

 ところで、勇気について言葉の意味を掘り下げて考える必要があります。「勇気」とは何でしょうか。辞書で調べます。普通の人が、恐怖、不安、躊躇、恥ずかしいなどと感じることを恐れずに向かっていく積極的で勇ましい強い心ということになります。

 少年は、中学生に向かって自分たちの主張をせずに逃げ帰ります。辞書の意味で考えると恐怖を克服して中学生に向かっていく強い心がなかったということになります。そんな少年を祖母はほめます。ここで祖母がほめる勇気とは何でしょうか。中学生に言おうと思っていた勇気もあります。でも、祖母が褒めたのは、自分の弱さに気づいたこと、それを祖母に告白したことも勇気なのでしょう。自分の名誉が傷つけられることを恐れて、ウソをついたり、ごまかしたりすることは、大人でも日常的にあることです。多分。少年は、中学生に主張する勇気はありませんでしたが、祖母に自分の恥部をきちんと伝えられたことは勇気があったということです。

 これらのことを子どもたちに説明するのは難しいです。でも、今すぐに分からなくてもよいとぼくは思っています。あきらめずにこの話を通じて読んで考えてくれただけでも価値はあります。次第に子どもたちの心は成長していきます。分かる、分からないにこだわらず、どんどん子どもたちの心に良い作品を読ませ考えさせて成長してもらえば良いと思います。

 

【解答例】

 自分自身の言動を冷静に振り返り、その中にある自分の弱さに気づくことが出来るのは大事なことである。そのことに気づくことが出来れば、他人を気遣う優しさも生まれるという考え方。

 

結論

①K成中の先生が、自校の入試問題の題材を提供している場合もある。

②今すぐに分からなくても、子どもたちに大切な考えは伝え続けたい。

③良い作品を通じて考えさせることで、子どもたちの心を広げることができる。